1年の定期検診で血液検査を受けたはるとしゅん
検査結果を詳しく知るために
血液検査の項目について解説していきます!
血液検査
では、血液検査で測定される項目の詳細について見ていきましょう
血液検査では血液の主要成分を評価します
WBC(白血球:White Blood Cell)
血液中の白血球の数を調べる検査です
白血球は、侵入した細菌やウイルスなどからネコの身体を守るバリア機能(免疫機能)を果たします
WBCが異常値になる代表的な原因は次の通りです
WBCが高値
身体の中に細菌やウイルスが侵入すると
免疫系は身体を守るために白血球を増やして対抗します
なので、WBCが多いと感染症が疑われるケースがあります
感染症でWBCが増加している場合
感染症が治ればWBCは正常値に戻っていきますので
WBCの増加は一過性です
感染症の例としては、風邪や肺炎、腎盂炎などがあります
白血病では血液細胞(白血球など)を作る機能が異常を起こします
無秩序に血液細胞が作り出されてしまうので
血液中の白血球数が大きく上昇します
特に慢性骨髄性白血病では顕著に増加が見られます
WBCが低値
血液細胞を作り出す機能に異常をきたすことで起こる貧血です
白血球の元となる造血幹細胞が減少してしまい
血液機能を担う白血球や赤血球、血小板などが減少します
再生不良性貧血は
出血で一時的に血が足りなくなったり
鉄分不足で赤血球が足りなくなる貧血とは別物です
RBC(赤血球:Red Blood Cell)
血液中の赤血球の数を調べる検査です
赤血球は、肺が吸い込んだ酸素や栄養分を体中に運び
細胞の老廃物である二酸化炭素などの老廃物をゴミ箱に持って帰ってくる機能を果たします
赤血球が異常値になる代表的な原因は次の通りです
RBCが高値
脱水により血液の量が少なくなることで
相対的に赤血球の濃度が濃くなる(多くなる)場合があります
この場合は血液細胞自体の機能に異常は起こっていません
RBCが低値
白血球と同様に、赤血球も造血幹細胞から作られます
造血幹細胞が減少してしまう再生不良性貧血では赤血球の減少が起こります
赤血球では鉄が重要な役割を担っており
鉄分が不足すると赤血球が作れなくなってしまいます
出血により血液が血管から漏れ出てしまい
赤血球が減ってしまう場合があります
この場合、出血が止まれば赤血球の数は回復していきます
なお、出血には身体の外で起こるものと
臓器など身体の内部で起こるものがあります
身体を強くぶつけたなどが合った場合
目に見える出血だけでなく
身体の内部での出血についても注意が必要です
Hb(ヘモグロビン:Hemoglobin)
赤血球に含まれる物質で
鉄とタンパク質が結合してできています
このヘモグロビンが赤血球が赤色(血液の赤色)に見える理由です
赤血球の重要な機能である酸素・二酸化炭素の運搬を担うのがヘモグロビンです
ヘモグロビンが異常値を起こす原因は
赤血球とほぼ同様です
Hbが高値
脱水により血液の量が少なくなることで
相対的にヘモグロビンの濃度が濃くなる(多くなる)場合があります
RBCが低値
赤血球の減少に伴ってヘモグロビンも減少します
Ht/PCV(ヘマトクリット:Hematocrit / 赤血球容積比:Packed Cell Volume)
ヘマトクリット(赤血球容積比)は
血液中に赤血球が占める割合(%)のことです
Htが高い=RBCが高い
Htが低い=RBCが低い
となりますが
後述のMCVやMCH、MCHCと合わせて評価されます
MCV(平均赤血球容積:Mean Corpuscular Volume)
MCVは【ヘマトクリット値÷赤血球数】で求められます
MCVは赤血球の平均的な大きさを示しています
貧血の種類を判別するために使われますね
血液中の赤血球の割合は多いのに
赤血球が少なければ
1個の赤血球が大きくなるということです
MCH(平均赤血球色素量:Mean Corpuscular Hemoglobin)
MCHは【ヘモグロビン÷赤血球数】で求められます
MCHは赤血球の中にどれだけヘモグロビンが含まれているかを示しています
貧血の種類を判別するために使われますね
MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度:Mean Corpuscular Hemoglobin Concentration)
MCHCは【ヘモグロビン÷ヘマトクリット値】で求められます
貧血の種類を判別するために使われますね
Plt(血小板:Platelet)
血液中に含まれる血小板の数を調べる検査です
血小板は出血した部位で血液を固める機能があります
血小板が異常値になる代表的な原因は次の通りです
Pltが高値
白血病では血液細胞(血小板など)を作る機能が異常を起こします
無秩序に血液細胞が作り出されてしまうので
血液中の血小板数が大きく上昇します
Pltが低値
急性の白血病の場合、血小板数が減少することがあります
血液化学検査
血液化学検査で測定される項目の詳細について見ていきましょう
血液化学検査では臓器の機能などを表す血中マーカーをを評価します
GLU(血糖値:Glucose)
血液中に存在する糖であるグルコース(ブドウ糖)の量を表しています
グルコースは細胞が活動するために必要な成分です
GLUが高値
肝臓が作るインスリンが血糖値をコントロールしています
インスリンが効きにくい場合
血糖値が高くなります
こういった状態が糖尿病です
GLUが低値
インスリンが過剰に分泌されてしまう状態です
インスリンを作り出す肝臓に腫瘍ができると発症することがあります
TCho(総コレステロール:Total Cholesterol)
血液中に存在する脂質である様々なコレステロールの総量を表しています
コレステロールは細胞やホルモンを作るのに必要な成分です
TChoが高値
血液中のコレステロールが血管内に蓄積し
動脈硬化などを引き起こす可能性が高くなります
腎不全や肝硬変、糖尿病、高血圧など、様々や疾病で上昇します
TChoが低値
食事中の脂質が不足すると、血中のコレステロール量が低下することがあります
食事中に十分な脂質が含まれているにも関わらず
TChoが低値を示している場合
消化管での吸収不良の可能性が考えられます
BUN(尿素窒素:Blood Urea Nitrogen)
血液中に含まれる尿素の量を表しています
尿素はタンパク質が代謝される際にできる老廃物です
血中の尿素は腎臓でろ過され、体外に排出されます
BUNが高値
腎臓は血液中の老廃物をオシッコに排出する機能をもっています
腎臓の機能が低下すると、血液中の尿素を排出できなくなります
タンパク質の多い食事を摂り続けると
タンパク質分解の老廃物である尿素も増加することがあります
BUNが低値
タンパク質が少ない食事を摂り続けるとBUNが低下することがあります
Cre(クレアチニン:Creatinine)
血中に含まれるクレアチニンの量を表しています
クレアチニンは筋肉が動くときに出来る老廃物です
血中のクレアチニンは腎臓で濾過され、体外に排出されます
Creが高値
腎臓は血液中の老廃物をオシッコに排出する機能をもっています
腎臓の機能が低下すると、血液中のクレアチニンを排出できなくなります
Creが低値
酷く痩せて筋肉量が少なくなっていると
筋肉で作られるクレアチニンも低下します
IP(無機リン:Inorganic Phosphorus)
無機リンは、歯や骨の発達に重要な成分です
身体に入ってきたリンは腎臓によって排出量を調整し
濃度が一定に保たれています
IPが高値
腎臓で無機リンの排出量が制御できなくなると
血中の無機リン濃度が上昇することがあります
副甲状腺で作られるホルモンは
腎臓で無機リンを再吸収することを抑制します
このホルモンが作られなくなると
腎臓で再吸収される無機リンが増加し
血中の無機リン濃度が上昇します
IPが低値
副甲状腺機能障害とは逆に
副甲状腺機能が亢進する(強くなる)と
腎臓での無機リンの再吸収が必要以上に低下し
血中の無機リン濃度が低下します
GPT/ALT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)
GPT/ALTは肝臓で作られる酵素です
GPT/ALTは肝臓でアミノ酸を代謝する働きを持ちます
GPT/ALTが高値
肝臓の細胞が破壊されると血液中にGOT/ASTが漏れ出てきます
GOT/AST(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)
GOT/ASTは肝臓で作られる酵素です
GOT/ASTは肝臓でアミノ酸を代謝する働きを持ちます
またGOT/ASTは筋肉(心筋・骨格筋)にも多く含まれています
GOT/ASTが高値
肝臓の細胞が破壊されると血液中にGOT/ASTが漏れ出てきます
肝臓の細胞が破壊されている場合
GOT/ASTとGPT/ALTの両方が増加しますが
GOT/ASTのみが増加している場合は筋肉が破壊されている可能性が考えられます
TBil(総ビリルビン:Total Bilirubin)
ビリルビンは赤血球に含まれているヘモグロビンが分解されたものです
赤血球が寿命を迎えて血中に放出され
肝臓が血中のビリルビンを胆汁中に排出します
TBilが高値
肝臓がビリルビンを胆汁中に排出できなくなると
血中にビリルビンが溜まっていきます
まとめ
健診結果については獣医さんが説明してくれると思います
飼い主さんも検査値の意味を理解することで
獣医さんの説明を理解することに役立ちます
少しずつ勉強してみるのはいかがでしょうか
飼い主さん自身の検診結果を理解するのにも役立ちますよ笑
鉄欠乏性貧血